🟧【現場改善の境界線】「改善案を出して」では出てこない。現場の「違和感」から始める改善
「何か改善できるところはない?」「気づいたことがあれば、どんどん言ってほしい」
工場長や現場責任者から、こんな声を聞くことがあります。現場を良くしたい。従業員からも改善案を出してほしい。ところが、実際に聞いてみるとなかなか意見が出てこない。
そうすると、「現場に改善意識がないのでは」「言われたことをやるだけになっているのでは」と感じてしまうことがあります。ただ、本当にそうでしょうか。
私が食品工場を見ていると、現場の人たちは意外とたくさんのことを感じています。
「この作業、やりにくいな」
「ここは時間がかかる」
「この人がやると速い」
「毎回ここで調整が入る」
ただ、それが最初から「改善案」という形になっているわけではありません。
現場にあるのは、完成された改善案ではなく、日々の仕事の中で感じている小さな「違和感」なのです。
4種類の具材を詰める冷凍食品のラインで
以前、冷凍食品をOEM製造する工場で、トレーへの具材詰め作業を見たことがあります。
使っていたのは、4つのポケットに分かれたトレーです。それぞれのポケットに違う具材を1種類ずつ、合計4種類の具材を計量しながら詰め、最後にピロー包装する工程でした。
それぞれの具材には重量の目安があり、作業者は台ばかりで重量を確認しながら詰めていきます。作業スペースには限りがあり、大きくレイアウトを変更することはできません。
当時は、一人の作業者が4種類の具材を順番に計量しながら、それぞれのポケットへ詰めていました。ここで差が出ていたのが、経験でした。
ベテランの作業者は、具材を持った感覚や見た目でおおよその重量が分かります。そのため、計量してもほとんど修正することなく、次々とトレーを流せます。
一方、経験の浅い人は、量を入れて計量し、多ければ減らし、少なければ足す。作業スピードにも重量精度にも差が出ます。
では、「もっと早くしてください」「計量を正確にしてください」と言えば解決するでしょうか。おそらく、それだけでは変わりません。
「一人で4種類」から「一人1種類」へ
そこで、作業の分け方を少し変えてみました。
一人が4種類すべてを計量するのではなく、一人1種類の具材を担当し、順番にトレーへ詰めていく方法です。
一種類だけを繰り返し扱うようになると、経験の浅い作業者でも、作業を続けるうちに「このくらい」という感覚が徐々に安定してきます。具材の触感や見た目と重量が結びついてくるからです。
そして、最終工程には計量の勘がよいベテランを配置し、最後の具材を詰めながら全体重量を確認・調整する形にしました。
結果として、作業者ごとのばらつきが小さくなり、商品の重量も安定しました。設備を増やしたわけでも、人を増やしたわけでも、大きくレイアウトを変えたわけでもありません。
変えたのは、作業の分け方と人の配置だけです。
現場には「答え」ではなく「ヒント」がある
この工場でも、最初から「一人1種類に担当を分けて、最後にベテランを置きましょう」という改善案が出てきたわけではありません。
現場にあったのは、「人によってスピードが違う」「ベテランはほとんど重量調整をしない」という事実でした。
現場に「改善案を出してください」と求めると、急に難しくなります。一方で、「どこがやりにくい?」「誰がやるとスムーズ?」「いつ調整が多くなる?」と見ていくと、そこにはたくさんのヒントがあります。
現場には、改善案になる前の「違和感」がいくつもあります。
現場で気づいていても、社内だけでは変えにくいことがあります。今のやり方を決めた人がいたり、変えて失敗したときに現場が責任を負う空気があったりすると、声を上げにくくなるからです。
そんなとき、外部の人間が間に入ることで、現場から「それなら、こうした方がいいのでは」という意見が出てくることがあります。
私の改善提案も、最初から正解を押し付けるためではなく、現場が自分たちで考え始めるきっかけになることがあります。
実際、改善の方法は、扱う商品、設備の配置、人員の構成、生産量によって工場ごとに異なります。「他の工場でうまくいった方法」が、そのまま使えるとは限りません。
だからこそ、実際の現場を見た上で考える必要があります。
改善は、仕事を増やすことではない
現場で「改善」と言うと、新しいチェック表が増える、新しいルールが増える、新しい記録が増える——そんなイメージを持たれることもあります。
これでは、現場から積極的に「改善したい」という声が出てこないのも当然です。
改善は、必ずしも新しい仕事を増やすことではありません。
今ある設備、今いる人、今の作業の中で、少し役割を変える、配置を変える、順番を変える——それだけで変わることもあります。
そのためには、最初から現場に「答え」を求めるのではなく、普段の仕事の中にある小さな気づきを、見過ごさないことが大切です。
「現場からなかなか改善案が出てこない」
「設備投資をする前に、今の現場でもっとできることがないか見てほしい」
そうした課題があれば、ぜひ一度ご相談ください。
Co-Creation Studioでは、実際の現場で人・設備・作業の流れを見ながら、その工場だからこそできる改善の可能性を一緒に探していきます。
まずは無料相談フォームより、お気軽にお声がけください。
