🟧【現場改善の境界線】もしものとき、誰がどう判断する? 中小食品メーカーのための「難しくしないBCP」

近年、台風や大雨、地震などによる被害が各地で発生しています。被災された皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

こうしたニュースを見るたびに、「もし自社だったら、どう対応するだろう」と考えることがあると思います。食品メーカーでは、自然災害そのものだけでなく、停電、断水、物流の停止、原材料や包材の不足、人員不足、設備トラブルなど、さまざまな出来事が生産や出荷に影響します。

そこで考えておきたいのがBCPです。BCPとは、Business Continuity Planの略で、「事業継続計画」と呼ばれます。難しく聞こえますが、簡単に言えば「何か起きたとき、何を優先し、誰がどう判断し、どう事業を続けていくかをあらかじめ考えておくこと」です。

中小企業では「頭の中のBCP」になりやすい

大企業には、リスク管理の専門部署があります。一方、中小企業では「工場を止めるのか」「どの商品を優先するのか」「社長が不在なら誰が判断するのか」といったことを、経営者や工場長の経験で判断している会社も少なくありません。

普段はそれでも回ります。しかし、いざというときに「社長に聞かないと分からない」「工場長しか知らない」という状態では、判断が遅れてしまうことがあります。

BCPというと分厚い計画書を作るイメージがありますが、中小企業ではまず、経営者や一部の人の頭の中にある判断を少し整理して共有することから始めてもいいと思います。

「何が起きるか」より「何が使えなくなるか」

BCPを考えるとき、「地震ならどうする」「台風ならどうする」と災害ごとに考え始めると、どんどん複雑になります。もう少しシンプルに、「何が使えなくなるか」から考える方法もあります。

  • 電気が使えない
  • 水が使えない
  • 人が来られない
  • 原料が届かない
  • 物流が動かない

原因が違っても、現場で起きる問題は似ていることがあるからです。

4〜5年に一度の雪。その工場で起きたこと

実際に、40名ほどが働く食品工場でこんなことがありました。普段ほとんど雪が降らないその地域で、積雪によって道路が通行止めになり、工場では同時に3つの問題が起きました。

① 従業員が来られない
② 原料が入ってこない
③ 出荷便が来ない

通常は39名が勤務するところ、その日に来られたのは10名。工場は午前中だけ稼働し、前日の仕掛品の包装と翌日の一部商品の仕込みを行いました。原料は翌日納品へ変更し、出荷も得意先へ連絡して調整しました。

ここまでなら、多くの会社でも同じように対応すると思います。でも、この会社で本当に印象に残ったのは、その後の対応でした。

「無事に終わった」で終わらせなかった

この会社も以前は「前回はどうしたっけ?」と、当時いた人の記憶を頼りに対応していました。でも、ある年から対応が終わったあとに記録を残すようになりました。記録したのは難しい内容ではありません。

何が起きたのか、どう対応したのか、誰が判断したのか、何がうまくいったのか、何に困ったのか、次回は何を変えるのか——これだけです。

でも、これが意外とできません。トラブルが終われば「とりあえず無事に終わってよかった」で一区切りつけたくなる。通常業務にも戻らなければならない。「喉元過ぎれば」で、振り返りは後回しになりがちです。

しかしこの会社では記録を残したことで、次に似たことが起きたとき「前回は誰に連絡したのか」「いつ帰宅判断をしたのか」を確認できるようになりました。個人の記憶だった経験が、会社のナレッジになったのです。

BCPというと未来のために計画を作ることばかり考えがちですが、一度経験したことを次に使える形で残すことも、大切な備えです。

まずは「何を決めておくか」を整理する

中小企業でBCPを考えるなら、以下のことを一度整理してみるだけでも違います。

  • 何を最優先するのか
  • 何が使えなくなったら、どう対応するのか
  • 何を一時的に止め、何から戻すのか
  • 誰が判断し、その人が不在なら誰が代わるのか
  • 過去の対応をどう残しておくのか

今回は、その考え方の一例として**「中小企業向け簡易BCP計画書・対応記録(例)」**を用意しました。

「この通りに作ればよい」というひな型ではありません。商品、設備、人員、仕入先、販売先、立地などによって、考えておくべきことは会社ごとに違います。

あくまで「自社なら何を考えておいた方がいいだろう」と考えるための一例としてご覧ください。

[中小企業向け「簡易BCP計画書・対応記録(例)」を見る]

BCPをきっかけに、自社のリスクを一度整理してみる

すべてを予測し、すべてに備えることはできません。だからこそ「自社にとって影響の大きいことは何か」「そのとき、誰がどう判断するのか」を一度整理しておくことが大切だと思います。

「自社のリスクや備えについて、一度整理してみたい」
「経営者一人で考えていることを、会社として共有できる形にしたい」

そうした課題があれば、ぜひ一度ご相談ください。

Co-Creation Studioでは、実際の工場・設備・人員・商品・取引先を見ながら、その会社にとって何を考え、どこまで備えておくのが現実的なのかを一緒に整理していきます。

まずは無料相談フォームより、お気軽にお声がけください。

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