🟧【売れる営業の境界線】「商品を売る営業」から「バイヤーに相談される営業」へ
食品メーカーの営業をしていると、どうしても商談の中心は「自社商品」になります。
「今度こんな新商品が出ました」「この商品をもう1品入れてもらえませんか」「春夏の棚替えで、ぜひこのシリーズをお願いします」
もちろん、商品を採用してもらうことは営業の大切な仕事です。しかし、以前小売のバイヤー側にいたとき、強く感じていたことがあります。
「商品を提案してくる営業」と「こちらから相談したくなる営業」は、まったく違う——ということです。
「今日は何を売りに来たの?」で終わる営業
バイヤーには毎回のようにメーカーから商品提案が届きます。新商品、リニューアル商品、季節商品、特売企画。
メーカー側から見れば一つひとつが大切な商品ですが、バイヤーから見れば、その商品だけを考えているわけではありません。
限られた売場の中で、どんなお客様に来てもらいたいのか、定番と新商品をどう組み合わせるのか、売上だけでなく利益をどう確保するのか——売場全体を考えています。
そこへ「当社のA、B、Cを全部入れてください」という提案だけを持っていっても、メーカー側の事情とバイヤー側の仕事が噛み合いません。
商品自体に圧倒的な魅力があれば採用されることはあります。しかしそれだけでは、「採用してもらうメーカー」にはなれても、「相談されるメーカー」にはなりにくいのです。
バイヤーが相談したくなる営業は、質問が違う
印象に残っている営業担当者には、共通点がありました。自社商品の説明を始める前に、こちらの売場について聞いてくるのです。
「最近このカテゴリー、少し品揃えを変えていますよね」
「この時間帯のお客様を意識されていますか?」
こうした質問ができるのは、普段から相手の売場を見ているからです。
そう聞かれると、バイヤー側も自然と「実は今、この売場をどうするか迷っていて……」という話になります。ここで初めて、商談が「商品の売り込み」から「売場について一緒に考える時間」に変わります。
「カテゴリーのプロ」とは、知識量の話ではない
カテゴリーのプロというと、競合メーカーの商品をすべて知っている人、市場データに詳しい人を想像するかもしれません。
もちろん知識は必要です。しかし本当に重要なのは知識量ではありません。
自社商品から考えるのではなく、売場とその先のお客様から逆算し、その中で自社商品が果たせる役割を考えられることです。
「この商品をぜひ入れてください」ではなく、「貴社がこの売場で狙うお客様を考えると、この部分に当社の商品を入れることで、今まで弱かった○○の需要を補えるのではないでしょうか」と提案できる。
売場全体の中で、自社商品がどんな役割を果たせるのかを考え、提案できることの方が重要です。
これができると、バイヤーから見た立ち位置が変わります。
「商品を持ってくる人」から、**「このカテゴリーなら相談できる人」**になるからです。
採用されなかった商談にも価値が残る
この営業スタイルには、もう一つメリットがあります。新商品が採用されなかった商談も、無駄になりにくくなります。
商品を売り込むことだけが目的になっていると、「採用・不採用」で商談が終わります。
しかし、相手の売場を理解することまで目的に含めると、なぜ採用されなかったのか、今後どんな商品を探しているのか——次の商品開発や提案につながる情報を持ち帰ることができます。
中小食品メーカーにとって、これは大きな資産です。
大手のような市場調査部門がなくても、日々の営業活動そのものを「市場を知る仕組み」に変えることができるからです。
「相談される営業」は、個人技のままでいいのか
問題は、こうした営業が一人いるだけでは、会社全体の強みにはならないことです。
「あの担当者だからできる」「ベテランだから分かる」——それでは、その人が異動したり退職したりすれば、せっかくの関係や情報も一緒に失われてしまいます。
本来は、商談に行く前に何を考えるのか、商談で何を聞くのか、得た情報を誰につなぐのか、次の商品開発や提案にどう生かすのかまでを、会社として考える必要があります。
ただし、ここに一律の正解はありません。
扱う商品、取引先、営業体制、開発や製造との距離によって、つくるべき仕組みは会社ごとに変わります。
だからこそ、単なる営業トークの研修ではなく、自社に合った「相談される営業の仕組み」をどう作るかが重要になります。
中小メーカーだからこそできる提案がある
大手メーカーと同じ量の市場データを集める必要はありません。
営業と開発、製造現場、経営者との距離が近いことが、中小食品メーカーの強みです。
営業が売場で聞いた一言を開発に持ち帰り、現場の技術を使って試作品を作り、再び営業がバイヤーへ持っていく。
この距離の近さを生かせれば、規模では大手に勝てなくても、提案までの速さと深さで違いを作ることはできます。
「今日は何を売りに来たの?」と言われる営業から、「ちょうどよかった。少し相談したいことがあるんだけど」と言われる営業へ。
そして、その力を一人の優秀な営業だけに頼らず、会社の営業力に変えていく。
それが、中小食品メーカーにとっての提案型営業の一つの形だと考えています。
「営業が商品説明だけになっている」「バイヤーとの関係をもう一段深めたい」——そんな課題があれば、ぜひ一度ご相談ください。
Co-Creation Studioでは、営業だけを切り離して考えるのではなく、商品開発・製造現場・売場までをつなぎながら、その会社だからこそできる提案の形を一緒に考えていきます。
まずは無料相談フォームより、お気軽にお声がけください。

