【食品業界レポート Vol.4】新米は下落、原油は一服も波乱含み。値上げの波は高止まり
2026年10月1日|Co-CreationStudio
前号(Vol.3)から2週間。「答え合わせ」も含めてお届けします。
今号で注目したいのは、米や原油など一部の相場が下がっても、食品価格はすぐには下がっていないことです。
1.新米の概算金は大幅下落。買戻し後も価格下落続く
Vol.3では、令和7年産備蓄米21万トンの買戻しが、米価下落の下支え材料になり得ると紹介しました。
しかしその後、令和8年産の概算金(JA・全農が農家に支払う仮渡金)は、主要産地で前年を大きく下回る決着が相次いでいます。店頭価格も5kgあたり3,000円前後まで下落しました。
**少なくとも現時点の概算金・店頭価格からは、価格下落を止めるほどの明確な下支え効果は確認できません。**この買戻しは令和7年産の在庫が対象で、今出回っている令和8年産の新米には直接及びません。
業務用米・米加工品では、当面は仕入価格の改善が期待できる環境ですが、生産者の再生産意欲低下は中期的な調達リスクにもなり得ます。
2.原油は一服も、波乱はまだ続いている
9月中旬の攻撃で停止していたサウジの東西パイプラインは9月22日に低圧送率で再稼働し、紅海側のヤンブー港からの輸出も再開しました。これを受けて原油相場は一時100ドルを割り込みましたが、その後再び上昇し、Brentは9月30日時点で103.50ドル前後で推移しています。
中東からの原油輸出は9月に日量1,632.8万バレルまで回復したものの、紛争前(2月)の1,951.3万バレルにはまだ届いていません。紅海の戦争リスク保険料上昇や、ホルムズ周辺でのタンカー不足・積み替え混雑も残っています。
食品メーカーでは、原油価格だけでなく、ナフサ・海上運賃・保険料・冷凍冷蔵の電力コストを別々に確認したいところです。「原油が下がったから値下げ」と単純には言えない状況です。
3.値上げは9月がピーク、10月も高水準続く
帝国データバンクによると、9月の食品値上げは4,965品目と2026年最多。10月は3,153品目・平均10%となりました(8月末時点の速報3,033品目から上方修正)。原材料だけでなく、包材・物流・人件費を織り込んだ改定が続いています。一部の原材料相場が下がっても、複数のコスト上昇が重なっているため、食品価格がすぐに下落へ転じる状況ではありません。
食品メーカー相場ウォッチ
| 項目 | 現状 | 3〜6か月 | 重要度 | 主因 |
|---|---|---|---|---|
| 米 | 新米大幅下落・下支え効果未確認 | →~↓ | ★★★★ | 在庫増・新米供給 |
| 小麦 | 10月期+12.0%確定 | →~↑ | ★★★★★ | 買付価格・為替・海上運賃 |
| 牛肉 | 供給タイト | ↑ | ★★★★★ | 国内供給減・輸入減・在庫減 |
| 豚肉 | 高値だが供給増材料 | → | ★★★★ | 冷凍輸入増・国内生産微減 |
| 鶏肉 | 供給緩和材料あり | → | ★★★ | 海外供給増・国内在庫増 |
| 油脂 | 方向感が割れている | ↕ | ★★★★ | 大豆短期逼迫・中国需要減速 |
| 包材 | 高止まり | →~↑ | ★★★★★ | 原油・ナフサ・運賃 |
| 物流・エネルギー | 一服も不安定 | ↕ | ★★★★★ | サウジ情勢・ホルムズ・為替 |
※方向性・重要度はCo-CreationStudioによる分析であり、確定価格ではありません。「3〜6か月」は現在価格から先の方向性を示しています(小麦は10月分の確定上昇を織り込んだ上での、その先の見方です)。
制度ウォッチ:10月1日、酒税がもう一段変わる
ビール系飲料の酒税率が350ml換算で54.25円に一本化されます。ビールは減税、発泡酒・新ジャンルは増税で、「お酒が全部値上がり」ではありません。
酒類を扱う事業者は、税率変更と自社の価格改定を分けて説明できるようにしておきたいところです。また、10月1日時点で対象酒類を在庫として保有する事業者は、手持品課税・戻税の対象となる場合があるため、該当条件を確認しておく必要があります。
Co-Creation Studioの視点
米は下がり、原油はいったん落ち着いても波乱含み。それでも食品全体の値上げは高水準が続いています。品目ごとの相場より、自社の商品原価が結局どう動いたかを見る方が実務的です。
さらに一歩進めるなら、上がったコストを売価に反映できているかだけでなく、下がった相場の恩恵が、自社の仕入価格や利益にきちんと届いているかも見ておきたいところです。値上げ時の交渉だけでなく、相場が下がったときに仕入価格がどう見直される契約になっているかも、確認しておきたいところです。
次号もこの視点でお届けします。
Co-Creation Studio|食品業界レポート Vol.4|2026年10月1日
※本記事は2026年10月1日時点の公開情報に基づく分析です。実際の仕入価格は産地、規格、契約時期、為替、物流条件等によって異なります。 参考:農林水産省、帝国データバンク、財務省、国税庁、農畜産業振興機構(ALIC)、各社報道(ロイター・共同通信・ブルームバーグ)の公表情報を基に作成。

