【食品業界レポート】小麦・包材・食肉に上昇圧力。食品メーカーが今押さえておきたい動き
2026年8月20日|Co-CreationStudio
普段このブログでは、現場の課題や相談事例を中心にお届けしています。
今回、新しいシリーズとして「食品業界レポート」を始めることにしました。きっかけは、商談の中で都度お伝えしていた相場や業界動向の情報を、クライアント様から「まとめて知りたい」とお声がけいただいたことでした。
そこで、これまで商談の中で個別にお伝えしていた内容を、レポートという形でまとめて発信することにしました。第一回の今回は、直近の相場から特に気になる動きを取り上げます。
原材料・物流・包材・エネルギーが、同時に動き始めています。
特に秋以降は、小麦・輸入牛肉・包材を中心にコスト上昇リスクを警戒しておきたいところです。
1.秋の小麦価格、「下がる」前提は禁物
輸入小麦の政府売渡価格は、現在62,520円/t(4月改定、前期比+2.5%)。次の改定は10月です。
USDAは8月12日、2026/27年度の米国小麦について供給減・在庫縮小を見込みました。主要産地の天候不順が背景です。
ただし日本の売渡価格は、直近半年の買付価格・為替・海上運賃を反映するため、国際価格の上昇率がそのまま10月価格になるわけではありません。
Co-CreationStudioの見方:過去、在庫縮小局面では前期比3〜7%上昇したケースがあり、今回も**66,000円/t前後(+5〜7%程度)**が一つのシナリオです。当たり外れより、10月に答え合わせをすることが大事だと考えています。
パン・麺だけでなく、菓子、惣菜の衣、ルウ、ソースなど、小麦を副原料に使う商品も要注意です。
2.値上げの理由が「原材料」から広がっている
8月の食品値上げは主要195社で2,311品目。値上げ理由の内訳は、
原材料高 90.9%/物流費 65.8%/包装・資材 64.0%/中東情勢 27.8%
原料だけでなく、物流・包材が既に6割超の値上げに関わっています。
原油 → ナフサ → PP・PE・PETなどの樹脂 → トレー・容器・フィルム → 食品メーカーの包装コスト
という経路で、じわじわ原価に効いてきます。中小メーカーは発注量が少ない分、大手ほど交渉力を持てません。
小麦が下がっても、包材+2円・物流+1円・人件費+1円が上回れば、商品原価はトータルで上がります。「原材料相場=商品原価」ではないことを前提に見ていく必要があります。
3.牛肉高から「鶏肉シフト」へ
米国の牛群縮小からの回復が遅れ、牛肉高が続いています。牛は増産まで数年かかるため、短期での値下がりは期待しにくい相場です。
米国牛肉高 → 日本の輸入牛肉高 → 豪州産への需要増 → 豪州産にも上昇圧力
という波及も警戒しています。
消費者側では、牛肉→豚肉→鶏肉・挽肉・切落しへと値頃感を求める動きが起こります。合挽きや部位変更など、価格と価値のバランスを取る商品開発が増えそうです。
ただし鶏肉にはHPAI(鳥インフルエンザ)という供給リスクも。牛・豚・鶏は別々ではなく、畜種間の需要移動として見るのがポイントです。
相場ウォッチ(警戒度つき)
| 相場 | 3~6か月 | 警戒度 | 見るべきポイント |
|---|---|---|---|
| 小麦 | ↑ | ★★★★★ | 米国減産・黒海・為替 |
| 牛肉 | ↑ | ★★★★★ | 米国牛群・豪州 |
| 包材 | ↑↑ | ★★★★★ | 原油・ナフサ |
| 物流・エネルギー | ↑ | ★★★★★ | 中東・原油・海上運賃 |
| 豚肉・鶏肉 | →~↑ | ★★★★ | 飼料・HPAI |
| 油脂 | ↑ | ★★★★ | パーム・菜種・原油 |
| 水産・カカオ・コーヒー | ↕ | ★★★★ | 産地・為替 |
| 米・とうもろこし・大豆 | →~↑ | ★★★ | 在庫・作柄 |
※方向性・警戒度はCo-CreationStudioによる分析で、確定価格ではありません。パーム油は8/19時点で前月比約5%上昇しています。
法令・食品安全ウォッチ
消費者庁は、賞味期限の誤表示による自主回収を公表しています。印字ミスに見えても、実際は
商品マスター → 製造指示 → 期限設定 → 印字 → 確認 → 出荷
という一連の管理の問題です。人を注意するだけでは、仕組みが同じなら再発します。
また、特定保健用食品・特別用途食品の表示許可情報も継続更新中。食品衛生法改正から5年を踏まえた制度見直しの議論も進んでいます。原料変更が規格書・表示・現場指示まできちんと連動しているか、この機会に確認しておきたいところです。
商品開発ウォッチ
①「ちょっとだけ手間を残す」商品:完全時短だけでなく、少し自分で仕上げる余地を残す商品に注目が集まっています。8/18にはタコス×中華まんという海外メニューの日常食品化も登場。消費者が本当に省きたいのは「献立を考える」「失敗する」「洗い物」といった負担であり、**“どの面倒をなくす商品か”**が開発の鍵になっています。
②「普段の食事」に健康を足す:8/17発売の「ごはんでたんぱく」のように、プロテインやバーではなく、主食そのものを高機能化する動きが広がっています。新しい健康食品を作るより、今の商品に健康という価値をどう足すか——設備投資なしで狙える商品開発です。
Co-CreationStudioの視点
今回のキーワードは、「原材料高」から「総コスト管理」へ。
相場そのものはコントロールできませんが、相場が動いたときに自社のどの商品に、いくら影響するかを早く把握することはできます。
次回も、相場と現場をつなぐ視点でお届けします。自社の原価構造を整理したい、価格改定の判断材料が欲しいという方は、お気軽にCo-CreationStudioまでご相談ください。
Co-CreationStudio|食品業界レポート|2026年8月20日
※相場見通しは2026年8月20日時点の公表情報に基づく分析です。実際の仕入価格は産地・規格・契約条件・為替等により異なります。 参考:農林水産省、USDA、帝国データバンク、消費者庁、日本食糧新聞の各公表情報を基に作成。

