🟧【商品開発の境界線】若者狙いがシニアに刺さった?「ターゲットのズレ」が生んだ食品ヒットの法則
「シニア向けとして開発したのに、なぜか全く売れない。しかも、なぜ刺さらなかったのか理由すら分からない……」
ターゲットを定めて開発したにもかかわらず失敗し、原因も分からずお蔵入り——これは食品業界で頻繁に起きている現象です。
一方で、マーケティングの歴史には、これとは対照的な「ターゲットのズレ」が生んだ大ヒット例があります。
ムラーノが教えてくれる「ターゲット設定」の真の役割
かつて日産自動車が発売した「ムラーノ」は、エッジの効いたデザインで「スタイリッシュな若年層」を狙ったSUVでした。しかし実際に爆発的に購入したのは、40〜60代のアクティブシニア層だったのです。
ここで注目すべきは、日産が「シニアに売れているから」と安易に路線変更しなかった点です。「若者向けのカッコいい車に乗っている」という所有感こそがシニアの心を掴んでいると捉え、若々しいコンセプトを維持し続けた結果、ロングセラーとなりました。
この事例が示しているのは、「ターゲット設定とは、買う人を限定するためではなく、商品のコンセプト(世界観や尖り具合)を明確にするために行うものだ」という事実です。
食品業界でも起きている「コンセプトのマッチング」
同じ現象は、近年の食品業界でも起きています。「明確なコンセプト」があったからこそ、意図しなかった層へ届き、その理由を分析・横展開できた事例です。
- ワンプレート冷凍食品
狙い・開発コンセプト: 一人暮らしの若者向け「タイパ食」
実際の購買層:60代以上のシニア層
何が起きたか: 「少量・多品目で栄養バランスを取りたい」というシニアの悩みに合致。「タイパ」という明確な軸があったからこそ「なぜシニアに売れたのか」を客観的に分析でき、健康志向バリエーションへの横展開につながりました。 - レトロサワー・RTD(缶チューハイ)
狙い・開発コンセプト:お酒離れが進むZ世代向け「レトロポップで飲みやすい低アルコール酒」
実際の購買層:40〜50代のミドル層
何が起きたか:「若々しくおしゃれな自分」を感じさせる世界観が、おじさんくさい缶チューハイを避けたいミドル層の心を掴みました。
なぜ「シニア向け」は失敗し、「若者向け」がシニアに売れるのか?
最大の理由は、「シニア向け」という大雑把なターゲット設定では、コンセプトが曖昧になりやすいからです。万人受けを狙うあまり特徴が削ぎ落とされ、誰の心にも刺さらない商品になってしまいます。
さらに、人間には「自分はお年寄りだ」と思いたくない心理があります。「シニア向け」と全面に押し出された商品は、機能がどれほど優れていても、手に取る抵抗感が生まれてしまうのです。
「尖ったコンセプト」が、真のターゲットを引き寄せる
今回の事例から学べるのは、「コンセプトさえ良ければ必ず売れる」という極論ではありません。「尖ったコンセプトを持つ商品だからこそ、市場の中で本当にそれを求めているターゲットと出会える可能性が生まれる」ということです。
商品開発の正しい順番はこうです。
- コンセプトを研ぎ澄ます:「誰のどんな悩みを、どう解決するか」を極限まで具体化し、商品に強い個性を与える
- 実際の反応(ズレ)を観察する:想定外の層に売れても失望しない。コンセプトが明確なら「なぜこの層に買われているか」の仮説検証ができる
- 実需に合わせて育てる:尖った世界観を崩さずに、実需層が求める機能を追加して市場を広げる
自社の「コンセプト」は、明確になっていますか?
最初から100%想定通りのターゲットに届くことは、むしろ稀かもしれません。しかし「誰にでも受ける無難な商品」では、偶然のヒットすら生まれづらくなります。
「想定と違う売れ方」をした時こそ、新しい市場を切り拓く最大のチャンスです。大切なのは、たとえ仮説であってもターゲットを鋭く絞り込み、思い切ったコンセプトを打ち出すことです。
「自社商品のコンセプトが曖昧なまま開発が進んでいる」「ターゲット設定の方法が分からない」——そうした壁にぶつかっているなら、一度、一緒に言葉にしてみませんか?Co-Creation Studioは、商品開発の上流から現場まで入り込み、コンセプトづくりを共に考える共創パートナーです。
まずは無料相談フォームより、お気軽にお声がけください。
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